地域を舞台に挑戦する、建築創造の最前線
香川県丸亀市で進む「丸亀市民会館」新築工事。 大成建設四国支店で活躍するキャリア入社の建築創造エンジニア4名が、入社の決め手から現場での挑戦、これからの想いまでを語ります。
profile

瀧本 幸弘
四国支店 建築部 課長
地場ゼネコンでの14年の経験を経て、契約社員として大成建設に入社。3年後に総合職に転換し、主任、課長代理を経て2021年に課長に。「丸亀市民会館」作業所では、工務グループの責任者として設計監理者と折衝しながら施工図・製作図などを作り込み、円滑な工事につないでいる。

宮武 直人
四国支店 建築部 課長
中堅ゼネコンで管理部門を5年、現場の施工管理業務を8年経験し、大成建設に入社。リニューアル工事および新築工事を担当し、大型小売店舗から金融機関、陸上競技スタジアム、個人病院、住宅など幅広い物件を担当。「丸亀市民会館」作業所では工事課長を務める。

上埜 剛義
四国支店 建築部 課長
地場ゼネコンに3年、準大手ゼネコンに転じて17年の経験を経て、故郷である香川県での勤務を選択して2024年に大成建設へ。「丸亀市民会館」では工務グループで工事の計画から進捗・品質・予算管理まで施工業務全体をサポートするとともに、現場の内装・仕上げの管理も兼務する。

市川 望
四国支店 建築部 課長代理
地場の工務店などで施工管理業務を幅広く経験し、なかでも高度な木造作のノウハウを身につける。2024年に大成建設に入社し、工務グループで製作図の作図およびチェックを担当。デザイン性の高い「丸亀市民会館」の設計を実現するベストな施工方法を考え、提案を重ねている。
cross talk
香川県丸亀市の「丸亀市民会館」新築工事では、キャリア入社のメンバーが重要な役割を担っています。
前例のない工法が求められる難易度の高いプロジェクトにおいて、様々な協力会社とBIMなどを活用しながら、施工の品質・安全・工期・コストをコントロール。入社年度の異なるキャリア入社の4名に、現在どのような想いでそれぞれの業務と向き合い、大成建設の現場でチャレンジを重ねているのか、率直に語り合ってもらいました。
[ Episode 01 ]


[ 瀧本 ]
「丸亀市民会館」新築工事は、2023年3月に着工し、2026年2月に竣工予定の公共工事です。大小ホールや複数のスタジオ、多目的スペースなどを備えていて、いわば丸亀市のみなさんにとって重要な拠点となる新しい市民会館を造るプロジェクトです。
[ 宮武 ]
私は丸亀市民なんですが、丸亀に著名なミュージシャンを呼べるようになるのではと期待しているんですよ。また、地元で有名な自衛隊の音楽隊や瀬戸内サーカスなど、さまざまなコンサートや演劇、パフォーマンスが体験できる劇場になります。子どもたちの体験型の学習やシニアの生涯学習の拠点にもなる。丸亀城下に広がる市街の中心部に位置し、地域のお祭りやイベントのパレードなどのスタート地点としても活用されると思います。
[ 上埜 ]
丸亀市にとってとてもシンボリックな建物であり、地域で何十年に一回あるかどうかの建設工事ですよね。こんな重要なプロジェクトに携われるのは大成建設ならではの機会だし、施工管理技術者として初めて手がける種別の工事も多く、貴重な経験になっています。
[ 市川 ]
仕事のやりがいは、転職前に想像していた以上ですね。非常にデザイン性の高い設計で、内装のどこ一つをとっても同じような仕上がりの個所がありません。設計の意図するイメージが実現可能かどうかの検証から始めて、みんなで知恵を出し合い、今まで経験したことのない施工方法も含めて提案しています。

[ Episode 02 ]


[ 瀧本 ]
この劇場は、いろいろなところに高価な仕上げを織り込みつつ、あえて部分部分でも形を変えています。劇場のどこを切っても同じ断面がない。おそらく観客が一歩足を踏み入れただけで、「あれ? どこか普通の劇場と違うな…」と体感できるような、個性的な建物になると思います。
[ 宮武 ]
通常の建築物は、意匠設計がいて設備設計がいて、建物ができれば大きく電気・衛生・空調設備と工事を進めていきます。ところが、劇場ではそこに舞台設計が絡み、舞台照明や音響、せり上がり舞台などの劇場特有の機構の施工も入ってきます。工程ごとのスケジュール調整が複雑になるのはもちろん、例えば何かが当たって所定の位置に照明やスピーカーが入らないなどのアクシデントも発生しやすい。
[ 瀧本 ]
こうした現場では、図面が複雑になって枚数も増え、それを各工程の作業者に理解してもらわないと工事が進みません。そこで、協力会社の職人さんを含めて、BIM*をフル活用し、3Dでの検証を行っています。本社のデジタルプロダクトセンターの継続的な支援も受け、今では工事に携わる作業者がスマホやタブレット端末で立体画像を自由に回転・拡大縮小し、構造躯体から内装、設備機器などを確認することができます。
[ 宮武 ]
3D画像は任意の位置で断面を見ることもでき、鉄筋の正確な位置から本数、小さなビスの位置や個数まで、瞬時に把握できます。これまでは、各自が何枚もの平面図を読み解いて立体イメージを想像していたので、作業者全員での正確な情報共有が難しい側面がありました。工事の品質・スピード・安全確保のために、今ではBIMはなくてはならない存在です。
[ 市川 ]
実際のところ、BIMがなければ今回のプロジェクトは進められなかったと思います。いくら平面図で説明しても、なかなか理解してもらえない複雑な形状が多いので。各種図面に基づいた正確な3D画像を共有しながら、「こことここが干渉しているからダメですね」などと問題点がすぐ分かり、解決策が立てやすいと思いました。
[ 上埜 ]
同感です。このプロジェクトでは、私は工務グループの業務と併行して、舞台照明、舞台音響、舞台機構の施工業者さんと打ち合わせ、調整を行いながら、内装の施工管理も担当しています。施工難易度の高い現場だからこそ、BIMがないと仕事が成り立たないですね。また、こちらの劇場に限らず、スーパーゼネコンの仕事では、今やBIMなしで建てられる建物は少なくなっているのではないでしょうか。
*BIM(Building Information Modeling):建物の3D形状と属性情報を紐付けたアプリケーション

[ Episode 03 ]


[ 宮武 ]
施工管理は経験工学的な仕事で、自分たちがこれまでやったことをアレンジして次の現場に活かしていきます。ところが「丸亀市民会館」では、経験則が通用しないやり方で新しい工法を考えることが多かった。
[ 瀧本 ]
そうそう。例えば大ホールには、一階席、二階席、三階席とあって、三階席は空中に浮いたように見えるボックス席が放射状に並んでいて、これが難しかった。本社の技術部の力も借りながら、BIMを使って鉄骨の入れ方や内装の仕上げも検討を重ね、片持ち梁の構造でボックス席を固定し、上から10cmピッチの鉄筋で吊り下げる構造としています。
[ 宮武 ]
そもそもそれぞれのボックス席は容積も違えば形も違うなかで、BIMを用いて検討を重ねた末に導き出した工法です。普通であれば屋根を造ってからボックス席を吊り下げますが、先にボックス席を空中に固定して最後に屋根と繋ぐという、これまでにない発想の施工に、安全を担保しつつチャレンジする必要がありました。
[ 瀧本 ]
難易度の高い施工もようやく大詰めです。来年の竣工に向けて、工務としては残る工程の全ての図面をできるだけ速やかに細部まで固め、施工がスムーズに進められる時間を確保したいですね。そのためにも、設計事務所をはじめとする全関係者との人間関係を良好に保ちながら、宮武さんたち工事チームにバトンタッチしなければ。
[ 宮武 ]
われわれ工事としては、工期の順守は当然ながら、とにかく事故を起こさないよう注力しています。熱中症の時期でもあり、労働災害の予防にはどれだけ注力しても「これで十分」ということはありません。今はカメラで作業所内はすべてモニタリングしていますが、工事部のメンバーは昼間、全員で現場を巡回しています。安全管理もそうですし、品質を担保する上でも、一人ひとりの作業員と直接コミュニケーションを取って作業状況を確認しています。
[ Episode 04 ]


[ 市川 ]
前職では小規模な会社で施工管理の経験を積んできましたので、大成建設に来て大きなチームで仕事ができるのが新鮮で、楽しい経験となっています。ゆくゆくは工務グループで、自分のチームのメンバーを取りまとめるリーダーを目指したいと思うようになりました。若手や中堅を指導する立場では、「分からないことがあったら聞いてみようか」と思ってもらえる身近な存在でありたいですね。
[ 上埜 ]
大成建設に来て1年以上が過ぎ、自分の引き出しが着実に増えていっている感覚があります。スーパーゼネコンならではのレベルの高い仕事を通じて、これまで知らなかった分野の工事を経験し、技術者としてステップアップできています。さらにその先には、作業所長として、このような大型現場を任せてもらえるまで実力を高めたいと思っています。
[ 宮武 ]
頼もしい発言ですね。文系学部出身でキャリア入社の自分としても、作業所長を目指すことは一つの大きな目標。大成建設では、すでにキャリア入社の作業所長がリニューアル工事で活躍されていますし、同じくキャリア入社の瀧本さんも同じ想いだと思います。近い将来に四国の新築工事プロジェクトなどでキャリアアップの機会をもらえたら嬉しいですね。
[ 瀧本 ]
宮武さんも私も、会社から「所長任用試験を受けなさい」と薦められて合格しています。これから大成建設を目指すキャリア入社の人材のロールモデルとなるためにも、大規模プロジェクトのコスト管理などを学びつつ、作業所長にチャレンジしたいというのが直近の夢になります。

message
[ 瀧本 ]
大成建設では、地域にとって意義のある「地図に残る仕事」に参加して、一つ上のレベルの施工管理にチャレンジできます。私たちが一緒に仕事をする人に求めることは、誠実に仕事に向き合う「真面目さ」です。当然、人によって得意・不得意はあると思いますが、嘘をつかない、連絡なしに仕事を休まないなど、社会人としての基本を備えていることを最も重視。もちろん何か技術的な強みがある方には、それを踏まえた配属を考えています。
[ 上埜 ]
私は、仕事に対して受け身に臨むのではなく、積極的にチャレンジする人に来てほしいです。特に若手の人材に対してそう思います。今は残業の上限時間が法的に制限されていますから、受け身の姿勢でなんとなく仕事をしている若手と、自分の能力を高めようと積極的に取り組む人とでは、エンジニアとしての力量に短期間で大きな差がつくからです。自分自身をレベルアップするための積極性を持っていることが重要だと思います。
[ 市川 ]
それに加えて、やっぱり建築なり土木の仕事が好きな人と仕事がしたいですね。この仕事にあまり興味がない人には、いくらポイントを伝えても伝わりません。本質的に「この分野の仕事が好きで、プロを目指したい」という方々と一緒に仕事ができればと思っています。
[ 宮武 ]
即戦力の中堅・ベテランも大歓迎です。やる気があれば、年齢はあまり関係ないと個人的には考えます。大成建設が扱うプロジェクトは、ベテランといえどもこれまでの経験やノウハウにあぐらをかいて、無難にこなすのは難しい。積極果敢に新しいことに挑戦できる、アグレッシブな人に向いていると思います。能力はあるのに、今はたまたま過小評価されているとか、もっとレベルの高い仕事に挑戦したいと考えている方と、ぜひ一緒に働きたいですね。
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