誠実に確かな現場を築きながら、
大成建設の信頼を広げる
安全と品質、そして人を大切にする現場づくりを通して、信頼を築いてきた作業所長。 一人ひとりと誠実に向き合いながら、より良い仕事を重ねていく。その姿勢が、大成建設の魅力を現場から広げています。
profile

廣作 利香
東京支店 RN部 作業所長
建築学科で意匠設計や構造計算、材料などを幅広く学ぶ過程で、大スパン工法などを用いた大規模な建築物をどのように施工するのかに興味を持ち、2007年にキャリア入社。東京支店に配属され、新築住宅やオフィスビルなどの施工管理プロジェクトで経験を積む。2020年にリニューアル部門の作業所長にステップアップし、以降は大規模な改修工事の指揮をとっている。
interview
女性の活躍推進に積極的に取り組んできた大成建設では、作業所長としてプロジェクト全体を動かす女性社員の存在感が高まっています。現在、廣作の取り組む改修プロジェクトでは、施設の機能や施設内で働く方の業務を原則止めずに、全ての柱に免震装置を設置する作業などを推進。図面では読み切れない複雑な配線や配管も多く、建物の状況を細かく確認しながら最適な施工方法を導き出す必要があり、建築創造エンジニアの手腕が問われる工事となっています。
現在、私が担当している施設の本館は、建築面積約8,000㎡、地上8階・地下2階の鉄筋コンクリート造のビルで、1968年に建てられました。こちらの本館全体に今の建築基準法に適合する耐震性能を持たせるため、2023年の2月から免震改修工事を進めています。
今回の改修プロジェクトでは、館内の職員の皆様が通常通りの執務を継続できる環境を維持しながら工事を進めるのがポイントです。このため建物を基礎から造り直す大がかりな免震工法ではなく、B1階で建物を支える96本の柱を1本ずつ切り、順次そこに免震装置を入れていく工法を採用しています。
年月を経てきた建物ですので、図面だけでは判断できないこともたくさんあります。柱を切ってみたら隠れていた電気系統の配線が切れてインターネットが遮断されてしまうとか、構造躯体として強度が保てなくなるなども起こり得ます。こうした事故が発生しないよう、前もって一つひとつ調査・確認しながら改修を進めていかなければなりません。そのうえで、改修工事の発注の担当者、および建物を管理・使用している皆様と、施工内容を毎週対面で共有しながら合意をいただき、工事を進めています。おかげさまで現在、全体の6割ほどの工事が順調に進捗していて、2026年の10月末には竣工の予定です。

免震工事を進める過程では、既存の床を壊して柱筋を通す工事なども必要でした。その際にも図面にはない配管が邪魔をして、柱筋を適正な位置に通せないといった問題が発生。そこで、設計事務所と打ち合わせながら柱筋の詳細図を書き起こし、全体の配筋容量は変えずに新たな形で鉄筋を組むなどの対応も必要になりました。
また、大成建設の技術部門との連携にも助けられています。当初の設計の考えでは、B1階の一部で外周部の壁を解体し、その後新たに構造躯体を造っていく工事を想定していました。ですが私は、最近のゲリラ豪雨などの気象状況を考えて、地下階といえども外壁を壊した状態を続けるのは避けたいと思ったんですね。そこで、社内の設計部のメンバーに頼んで構造計算をやり直してもらい、水の浸入も防げる躯体を先に造ってから壁を壊す、という工法に変えています。
何があっても、改修工事中の建物で仕事を続けているお客様にご迷惑をかけてはいけない。それが前提になりますから、「こういうふうにやれば、躯体を先に造って浸水を防げるんじゃない?」というアイデアと想いを伝えました。すると、設計部のメンバーがすぐに動いて具体的な解決方法を提示してくれました。こうした柔軟かつスピーディーな対応も、大成建設ならではの技術の蓄積があってこそ可能になると感じています。

今回の改修プロジェクトには、全工程で延べ50社ほどの協力会社に参加いただいており、常時80名ほどの作業員の方々が働いています。そこで作業所長を務める私が日々留意しているのは、「人を尊重する」ことに尽きます。私たちの仕事は、自分の手で何かを造ることではありません。現場で作業をされる職人さんたち、協力会社のプロフェッショナル、にどうすれば気持ちよく作業していただけるか、常にこれを基準に考え行動しています。現場の作業をやりやすくすることは、安全対策でもあります。
そのため、事前にコミュニケーションを重ねて、もし無理な作業工程があるようなら改善できないかを早急に検討します。現場の職人さんたちの声を吸い上げる意味でも、毎日「安全工程会議」の時間を設けています。構造的な人手不足の時代に、現場の人財に本来必要のない無理や我慢を強いてしまうと、次につながらないと思うからです。現場を支えてくださる方々に、「廣作の現場はやりやすかったから、また行こう」と思ってもらえるかどうかは、作業所長としての重要な役割の一つ。これまでさまざまな現場でともに汗を流し、背中を追いかけてきた上司や先輩の優れた点を見習うなかで、私自身そうありたいと思うようになりました。
とはいえ、まだこれから1年以上工期が残っていますので、一歩ずつ着実に進めていかなければと感じています。引き続き建物のゾーンごとに慎重に確認を重ねながら、改修工事を進めていきます。

こちらの現場を経験するなかで、自分自身の将来のキャリアイメージとして、新たに見えてきた方向性が2つあります。
一つが、入社時に抱いていた希望にも重なりますが、大スパン構造…柱が少なくて天井部分の大きな建築物の新築工事を手掛けてみたいということ。2019年に竣工した国立競技場の新築工事には参加したのですが、その時は次席の立場でしたので、次は作業所長として大スパン構造に取り組むのが個人的な目標となっています。大成建設では、私自身がそうであったように、新築工事を経験してから改修工事を学ぶキャリアパスが多いですが、私はもう一度新築プロジェクトにチャレンジしてみたい気持ちが大きいです。
そしてもう一つ、会社の宝である人財を育てることで、大成建設を今以上に盛り上げていきたいですね。人の育成という領域だけではなく、社外の人に当社の良さを伝えて大成建設のブランドイメージを向上させるといった仕事に興味があります。それが人事部門であるのか、広報部門であるのか、現時点でははっきりわかってはいませんが、「建築をやるなら大成建設だよね」といった前向きなイメージを、広く世の中に形づくるような仕事に挑戦してみたいと思っています。


message
建築創造エンジニアとは、人が好きでなければできない仕事だと思います。たくさんの人と正直なスタンスで話し合い、相手を思いやって親切に接することが大切です。しかも自分自身は常に専門的に勉強を続けなければなりません。なので私は、「正直・親切・勤勉」の3つを大切にして現場に臨もうと心に決めています。さらにいえば、いろいろなことに感動を持って臨めるような人と、仕事仲間になれればいいなと思っています。
私自身が建築の世界で仕事をしようと思ったのは、東京都庭園美術館を訪れた高校生の頃、ガラスのレリーフを通して太陽の光が注ぐエントランス空間に心を動かされたのがきっかけです。建築が人を深く感動させる力を持つことを知っている人と仕事ができれば、これほどうれしいことはありません。
大成建設には、「人がいきいきとする環境を創造する」というグループ理念があるのですが、実際このことを大切にしている人が多いと感じています。日常の仕事のなかでコミュニケーションを大切にする風土があり、どのような意見であっても相手の主張をいったん受け止め、それを実現する方法を考えてみる人が多いのですね。そうした社員が多数派だからこそ、誰もが自分たちが携わる工事が完了した後には、建物を利用する人やそこで働く人たちが、以前より楽しく充実した仕事や生活をしてほしいと願っているように思います。
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