新しい環境で広がる視野、
深まるものづくりの力
キャリア入社で現場を支える建築創造エンジニア。 前職で培った経験を糧に、より多くの人と関わる現場へ。挑戦を通じて視野を広げ、技術を深めながら、大成建設の一員として確かな成長を実感しています。
profile

安本 圭一郎
東京支店 1部 課長代理
「歴史好き」「建物好き」が高じて建築学科・大学院で社寺建築や文化財の修復を学び、教授の指導のもと現地調査なども経験。その延長線で社寺建築を専門とする工務店に就職する。経験とともにプロジェクト全体を動かしたい意向が高まり、2015年に大成建設へ。社寺建築や文化財修復の現場で経験を重ね、現在は木構造の知見が活かせる一般建築プロジェクトに挑戦中。
interview
社寺建築や文化財の補修などを強みとする人財が、大成建設にキャリア入社して10年。自身の専門性をさらに深めながら、建築創造エンジニアとして経験の幅を広げています。安本が現在手掛ける増設工事では、木構造と鉄骨構造を融合させて工事期間中のCO2排出量を削減するとともに、省エネ性能に優れた施設を建設中。竣工後には、多くの利用者に木の温もりが感じられる快適で心地よい空間を提供することを目指しています。
今担当している増設プロジェクトの施設は、木構造と鉄骨構造のハイブリッド工法を採用していて、建築面積600×18.3メートルのサテライト施設に1,400立米におよぶ木材を使用します。これによって建築部材の製造時から排出される二酸化炭素を削減し、利用者には木の温もりを感じていただける施設を提供します。
南に面した施設には水平庇を設け、ガラスの開口部には幅の広い木製方立(縦方向の桟)を設けて太陽光を遮蔽しています。断熱機能の高い外壁も採用し、施設オープン後の空調の消費エネルギーを低減。さらに、屋上には太陽光発電パネルを設置して創エネルギーも行い、施設全体で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにするZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を目指しています。
この施設には、3つの様式の木造工事があります。まず、鉄骨に木材の梁を取り付けていく工事。そして、鉄骨造の1階部分に木造の2階部分を建てる工事。そして、2階および3階の壁面と屋根に木のパネルを取り付ける工事になります。私はこれら木を使う工程のメイン担当として、5つの協力会社の延べ50名ほどのメンバーとコミュニケーションを取りながら工事を進めています。

建築における木材利用やハイブリッド工法の推進は、大成建設が中期的に目指す姿を定めた「TAISEI VISION 2030」にも明記されています。2024年5月に着工したこちらのプロジェクトは、その先駆けの一つといえる工事であり、やりがいはとても大きいです。
そもそも生きていた木を伐採した木材は、気温や湿度の影響で含水率が変化して歪みや反りが発生しやすく、直接日光に当たると木割れを起こします。今回のプロジェクトは竣工予定が2026年の5月末ですので、全ての部材を長期間にわたって濡らさないようしっかり養生して保管し、木口に木割れ防止剤を塗るなど管理に気を使う必要がありました。
また、自由度のある木材と無機物の鉄骨では精度基準が異なります。鉄骨のスラブから出したアンカーボルトに木の柱を差し込み、エポキシ樹脂で固定するなど、木と鉄骨を接合する工事は精度管理が難しく、現場で悩みながら細かい調整を重ねてきた実態があります。私の木造工事の知見だけでは対応しきれないことも多く、初心にかえって一から新たな工法を学び直す必要がありました。
そのプロセスでは、現場の副所長の実践的かつ工事全体を俯瞰したアドバイスや、本社の技術部が蓄積している木造・鉄骨ハイブリッド工法のノウハウが非常に心強かったです。綿密に立案された計画に沿って工事を進めることができ、おかげでこれまで大きな問題は発生していません。

建築の世界に入った1年目、無我夢中で現場監督を務めていた私に、お客様が竣工後に「ありがとう!」と声をかけてくださったことがあります。勉強中という意識で臨んでいた私には、その言葉は重く響きました。正直、お礼の言葉に値するような仕事はできていなかったからです。それ以来、「ものづくりは、常に自分の持っている力の100%以上を出して取り組もう」「ものづくりは常に100%出し切る姿勢で挑む」と決意しました。
今の増設プロジェクトにも、同じ想いで取り組んでいます。ですが、実際には初挑戦のハイブリッド工法に学んでいる部分が多いこともあって、今の自分の能力を超えるというより、これまでの経験で培った100%の力をなんとか出せているかな、といったところです。
そんな状況ではありますが、現場での一期一会も大切にしています。何かに困っている職人さんがいれば、たとえ直接仕事をお願いしている協力会社の方でなくても話を聞くようにしています。できるだけ速やかに解決の道筋を立てるなど、気持ちよく仕事をしていただける環境を整えたいですね。そのような出会いや人との縁は、予期せぬところで次につながるようにも思います。

前職で社寺建築や文化財修復に携わってきた私が、より広い視野で同種のプロジェクトに挑みたいと大成建設の一員となり、その想いを満たす数々のプロジェクトが経験できました。
社寺建築や文化財の修復は、昔の価値ある遺産を次の時代につなげていく仕事です。たとえば、600年代に建立された法隆寺が1,400年以上経った今も残っているのは、50年ごと、あるいは100年ごとに再建や修復などの作業を営々と重ねてきたからです。古い時代の建物は必ず誰かの手が入って次の時代へ、未来に託されていきます。その1ページに自分たちが携われるのは本当に幸せなことであり、社会的にも意義の大きな事業であると感じました。
そして、培ってきた木構造の知見を活かして、現代建築のプロジェクトにチャレンジする機会を得て、技術者としてさらに視野を広げることができました。今、木造と鉄骨のハイブリッド工法に取り組むなかで積み重ねているさまざまな経験は、今後の自分自身のキャリアの幅を大きく広げてくれるように感じます。時代が求めるサステナブルな建築物のニーズに合致した、幅広いプロジェクトに挑戦する機会が得られると思っています。
将来の夢として、城などの大規模な歴史的建造物を復元するような工事にも、ハイブリッド工法で学んだノウハウを応用して取り組んでみたいと考えています。


message
10年前にキャリア入社した私にとって、大成建設は自分の興味を軸に幅広くいろいろなことを学べる場所であり、現場担当者としてやりがいを感じながら成長できる場所です。
プロジェクトを通じて自分のレベルを向上させるという意味で、大成建設には大組織ならではのメリットがあると感じています。かつての自分がそうでしたが、規模の小さい組織では、いかにその会社が固有の競争力を持っていたとしても、どうしてもその知見やノウハウには偏りが生じます。大成建設には、技術部をはじめ日常的にさまざまな部署と連携する機会があり、優れた人財も豊富です。諸先輩だけでなく後輩の若手からも、専門的な知見や幅広い最新情報を学ぶことができ、必要に応じてサポートもしてもらえます。
現状にとどまらずに成長を続けたい人には、現場を起点にいろいろな方々と出会えて、仕事をしながら幅広く、深く学べる環境があると実感しています。
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